尖閣諸島のうち、調査の対象となる3島の特徴は次のとおりである。 (1)魚釣島 サンフランシスコ平和条約においても、尖閣諸島は、同条約第2条に基づき我が国が放棄した領土のうちには含まれず、第3条に基づき南西諸島の一部として米国の施政下に置かれた。 一方、尖閣諸島が米国の施政下にあった昭和43(1968)年、国連アジア極東経済委員会(ECAFE)の沿岸鉱物資源調査報告において、東シナ海での石油埋蔵の可能性が指摘された後、昭和46(1971)年に中国及び台湾が領有権を公式に主張した。 同年6月の沖縄返還協定により、尖閣諸島を含む沖縄の施政権が返還された。なお、昭和47(1972)年、日米地位協定に基づき久場島と大正島が米軍施設・区域とされた。 平成14(2000)年4月以降、魚釣島、北小島、南小島の3島を「平穏かつ安定的な維持・管理」のため国が地権者から賃借している。しかし、その後も中国人活動家が魚釣島に上陸する、尖閣諸島沖で中国船が海上保安庁の巡視船に衝突するといった事件が発生している。 魚釣島は、北緯25度46分30秒、東経123度29分の位置にあり、現生(沖積世)隆起サンゴ礁、角閃石安山岩、礫質砂岩(部分的に砂岩と礫岩の互層)などの岩石から成り立っている。外周約11km、面積約4km2、諸島中最も大きな島である。島の西に最高363m注)、東に327m注)の峯があり、島の北斜面には岩山が突出している。しかもこれらの岩山の多くは島の南偏りに屹立しているので、南側は急激な絶壁をなしている。一方、北側はやや緩やかな傾斜をなし、谷には小さな渓流も流れ隆起サンゴ礁や岩礁性の海岸に続いている(対米協会・助成シリーズ42 尖閣研究 2010)。 (注:国土地理院が発行する2万5千分の1地形図「魚釣島」ではそれぞれ362m・320mとされている。) (2)北小島 北小島は北緯25度45分、東経123度35分30秒、南小島の北西200mに位置し、外周約3km、南小島と同一の岩石からできている島で、北西から南西にのびる細長い矩形の島である。島の北部には 129m注)の岩山と幾つかの岩塔があり、南部は島の中央部の148m注)の頂部から南へ台地状の地形をなし、周辺は絶壁をなし海へ落ち込んでいる。隆起サンゴ礁は南と北の一部に見られるにすぎない(対米協会・助成シリーズ42 尖閣研究2010)。 (注:国土地理院が発行する2万5千分の1地形図「魚釣島」ではそれぞれ125m・118mとされている。) (3)南小島 南小島は北緯25度44分40秒、東経123度36分に位置し、北小島と約200m離れたやや楕円形をした島で、外周約2.5km、島の西半分に高さ約148m注)の岩山が南側で50~100mの絶壁をなし、北小島に面した側へ約40℃近い斜面をつくり島の主体部をなしている。東の端にも約60m近い岩塔が突出しているが、両岩山の間は礁面海抜2m程の礁原(隆起サンゴ礁)が広がり連なっている。南小島の岩石は現世隆起サンゴ礁、角閃石安山岩(貫入型)、礫質砂岩(部分的に礫岩と砂岩の互層)からできている(対米協会・助成シリーズ42 尖閣研究2010)。 (注:国土地理院が発行する2万5千分の1地形図「魚釣島」では139mとされている。) ― 8 ―
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