② 北小島は、平坦地も少なく岩山が切り立っているため、宅地化は困難と思料される。ただし、― 118 ―③ 南小島は、地形図等と現況を目視により調査したが、島の形状等に大きな変化は認められなかった。西部は鰹節工場があったと言われ、石積跡も見られ比較的なだらかな土地である。東部はほとんどが平坦地であり、波の影響も懸念されるほどの低地と見られる。 ⑵ 魚釣島、北小島、南小島の自然的、社会的及びその他条件の把握 ① 魚釣島は、石垣島から170kmに位置し定期航路はない。諸資料、文献による調査結果を基に自然的条件を目視により観察したが、特徴的な変化は確認できなかった。特に地勢は、北西部はなだらかな傾斜で平坦地もあるが、南部はほとんど断崖絶壁、北東部は北向き傾斜で数箇所の小さな渓流、湧水が見られた。植生はクバで覆われているが、野生ヤギが北部で見られ、食害の影響なのか表層土の流出も見られた。海鳥類はほとんど見られなかった。 ② 北小島は、魚釣島の南東約5kmに位置している。諸資料、文献による調査結果を基に観察し自然条件等について確認した。地勢は、島全体が険しい岩山で、南部にある最高頂約120mの岩山ほか2つの岩山があり、海岸から切り立った崖である。植生はほとんど見られないが、海鳥類の群れが顕著であった。 ③ 南小島は、魚釣島の南東約5km、北小島の南東200mに位置している。諸資料、文献による調査結果を基に観察し自然条件等について確認した。地勢は、西端に高さ約140mの岩山及び東端に高さ約90mの岩柱が存在するが、東部は概ね平坦地となっている。植生は東部の平坦地に群生していると見られる。海鳥類は西部の岩山に顕著であった。 ⑶ 魚釣島、北小島、南小島の利用可能性など将来動向の探求 ① 魚釣島は、旧船着き場跡も見られる北西部、平坦地が広がる東部などを観察した。渓流、湧水など水の存在も確認できたが、飲料水になる可能性は確認できなかったこと、宅地になる条件としての供給施設また交通接近条件を考慮すると現時点において、宅地として適切性の判断はできない。自然環境を保全しながら、通信施設、航海標識として灯台の設置など公共公益用施設の土地になる用途は有効と見られた。 稀少な動植物が多く存在するため自然環境の保全を図りつつ、良好な漁場として漁船が多く訪れる可能性があるため、さらなる詳細調査は必要ながらも、公益用施設の整備の可能性は期待される。 ③ 南小島は、東部がほとんど平坦地のため利用可能性はあるが、宅地化の可能性は未知数と推察される。ただし、稀少な動植物が多く存在するため、さらなる詳細調査は必要ながらも、自然環境の保全を図りつつ、北小島と南小島間には公益用施設の整備の可能性は期待される。
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