第1章17○東京は、政治・経済の機能が高度に集積する国家の中枢であるとともに、日本の1割を超える人口を有し、多様な産業や大学・研究機関等が集中する世界有数の大都市である。そのため、首都である東京が災害に対して強靭化を図ることは、東京を守ることだけに留まらず、日本全体を災害に強くするためにも重要である。○これまで都は、地震や風水害などの災害に備え、各種インフラ整備の計画的な実施や、自助・共助を促す事業の推進など、幅広い対策の充実を図り、着実に成果を上げてきた。○一方、気候変動の影響によって頻発化・激甚化する風水害や、社会の変化に伴い新たな課題も重みを増す首都直下地震などの災害は、いつ起きてもおかしくはなく、これらが複合的に発生するリスクもある。○加えて、都の調査で、今後、東京都が最も力を入れて取り組むべき分野は何か聞いたところ、近年は「防災対策」が毎回、おおむね5割を超える方から選ばれて1位となっており、防災の取組に対する都民の期待は高い状況にある。○こうしたことから、自然災害の危機に直面する中にあっても、都民の生命と暮らしを守り、日本を支える首都東京の機能や経済活動を維持するためには、災害に対する東京の強靭化に向けて、都の各施策をレベルアップする必要がある。○また、強靭化に向けた取組は、インフラ整備等に非常に長い時間とコストを要することから、将来を見据えて、中長期にわたり安定的・継続的に取り組んでいかなければならない。○これらの観点から、「風水害」、「地震」、「火山噴火」、「電力・通信等の途絶」及び「感染症」の5つの危機に対して、2040年代に目指す強靭化された東京の姿を明らかにし、それに向けて強化した、都が実施する事業の全体像を取りまとめ、「TOKYO強靭化プロジェクト」として、令和4(2022)年12月に立上げた。○一方で、プロジェクト始動後も、国内外で大規模な風水害や地震が相次ぐなど、我々は常に災害の脅威にさらされており、強靭な都市・東京の実現に向けては、施策を不断に見直し、リスクへの備えを強化していかなければならない。○こうした考えのもと、東京が直面する様々なリスクに対し、2040年代に目指す強靭化された東京の姿の実現に向けた道筋を確かなものとするため、令和5(2023)年12月にプロジェクトをアップグレードする。○アップグレードした本プロジェクトを、全庁一丸で継続的に展開していくため、「『未来の東京』戦略」の中で、施策の推進及び不断の強化を行い、都民の安全・安心を確保できる、強靭で持続可能な都市を実現していく。プロジェクト立上げの背景
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