1 ■1 児童の実態 ● 日常会話に支障がないが、学習言語能力が十分育って いない。 ● 教科学習面では成功体験があまりなく、周囲からは「意欲がない」と いった見方をされがちである。 ■2 日本語指導の目標(「個別の指導計画」日本語指導の目標) ❶ 自分の言いたいことを、まとまりを意識して相手に伝わるように話すこ とができ、委員会等の発表で下級生に分かりやすく説明したり、はっき りと指示を出したりすることができる。 ❷ 学年相当の漢字を正しく読むことができ、一つ下の学年の漢字を書く ことができる。また、作文に意欲的に取り組むことができる。 ★本単元は②に基づき、「内容と日本語の統合学習」の授業の一環として実施 ❸ 他者との関係性を理解した上で、自分の意見や考え、経験について表 現することができる。 ■3 指導形態 日本語指導での最後の作文指導として、児童の思いを十分に引き出しなが ら取り組ませることで、自分を表現するための語彙・表現を身に付けることが できる。 児童の思いやエピソードを、対話を通してできるだけ詳しく聞き出し、児童 が言いたいことを表すのによりふさわしい日本語の表現に言い換えていくこ とが重要である。その有効な方法の一つとして、思い出したことをメモし、関連 あるものをどんどんつないでいく方法(マッピング)がある。そうして出来上 がったマッピングの言葉から、大切なキーワードをつないでいくだけでも、思 い出は十分に文章化できる。細かに記述する力を高めるのであれば、聞き取る 際に、気持ちや様子も聞きだし、詳しいメモを残すようにする。[ 1 ] 対象児童について[ 2 ] 本単元について[ 3 ] 日本語指導案 ■1 単元名 「卒業文集を書こう」 ■2 単元目標 ● テーマについて、思い付いたことをマッピングし、書く材料を集めるこ とができる。 ● それぞれのエピソードについて、様子やその時の気持ちを詳しく日本 語で表現することができる。 ● 自分で文章を推敲する方法が分かり、正しい使い方で原稿用紙に書く ことができる。 ■3 展開85具体的な様子語 彙主な学習活動表 現指導・支援の工夫 週2回 合計4時間、自校 グループ指導・ 第6学年までの心情を表す言葉(国語の教科書巻末「ことばの たからばこ」)を活用して書かせる。・ エピソードを詳しく書く際には、「様子や事物を表す言葉の中 からふさわしい言葉を選んで使わせる。もしくは、推敲の際 に書き換えるようにする。・ 言い切りの文末(〜だ、〜 である)と、丁寧な言い 方の文末(〜です、〜ま す)が混在しないように する。1 卒業文集のテーマ選び、それぞれの項目についての思いや、きっかけとなった出来事について話す。 ● 2つのテーマそれぞれについて 思いや出来事を、言葉にして マッピング(つなげてメモ)する。 (テーマ例) ❶ 「小学校の思い出」 ・一番言いたいこと ・エピソード ・学んだこと ・これからに生かしていきたいこと ❷ 「将来の夢」 ・理由 ・一番伝えたいこと ・きっかけとなったエピソード ・夢を叶えられるのは、どんな人か ・これから頑張っていきたいこと● 話がより具体的になる様な質問、様子や気持ちを引き出すような質問をする。● 自分の特性や興味・関心にも目を向け、自分のよさにも気付けるような質問をする。● 憧れに胸を膨らませられるように共感的に話を聞く。● 共感的に聞きながら、出てきた言葉を板書する。● 夢へ近付くために今からできることについて具体的になるようなアドバイスをする。● 児童から聞き取ったエピソードや思いを、板書でマッピング(樹形図のメモ)して見せたり、子供と同じワークシートに書きとって例示したりする。小学生【後半】タイプ別に見る日本語指導モデル ●10タイプ C 1/2
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