1 ■1 生徒の実態 ● 日常生活では支障のない程度の日本語の力がある。 ● 教科の学習への参加には、十分な日本語の力はまだ獲得できていない。 ■2 日本語指導の目標(「個別の指導計画」日本語指導の目標) ❶ 学校の様々な生活場面に適した語彙・表現を知り、部活動や行事、委員 会活動等に積極的に参加することができる。 ❷ 教科の内容を理解するための日本語の知識・技能の力を高め、それを 運用しながら、母語や母国での学習経験を生かして、学年相当の教科 学習に、支援を受けながら参加することができる。 ★本単元は②に基づき、「内容と日本語の統合学習」の授業の一環として実施 ❸ 自分の考えなどを周囲に伝えたり、母語や母国で身に付けてきた知識 や経験を活用したりしながら、中学卒業後の進路に向けて学習等に取 り組むことができる。 ■3 指導形態 「竹取物語」は中学1年生が初めて触れる、古典の基礎とも言える作品である。 日本語学級に通う生徒にとっても、古典学習のスタートとして、「竹取物語」に 触れることで、親しみを感じ、その後の関心や意欲になると期待できる。学年 相当の物語文や説明文ではなく、他の生徒にとっても触れる機会が少なく、こ れから本格的な学習が始まる古典を扱うことで、国語科の学習に対する苦手 意識の軽減も図れる。 また、絵本の「かぐや姫」を利用することで視覚的に理解を促す工夫ができ る。ただし、物語全体では長すぎて取り扱うことが適当でない場合は、あらすじ が端的にまとめられている他の資料を併用するなど、リソースの組み合わせ も有効である。また、教科書の現代語訳については、生徒にとって難解な部分 もあるため、リライトを準備して読みやすくする支援も重要である。[ 1 ] 対象生徒について[ 2 ] 本単元について[ 3 ] 日本語指導案 ■1 単元名JSL国語科 第1学年「昔のことばと現代のことばを比べよう」 ■2 単元目標 【教科(国語科)】 ● 日本の古典がどのようなものかを知ることができる。 ● 現代の文章と古典を比べ、その違いや共通点に気付くことができる。 【日本語】 ● 現代の文章と古典を比べ、その違いや共通点を見付け、日本語で表現 することができる。 ● 古典を学習するために必要な語句を理解することができる。■3 展開79具体的な様子語 彙主な学習活動表 現指導・支援の工夫 週2回 合計2時間、自校 グループ指導古典、かぐや姫、竹取物語、平安時代、古典、現代文、歴史的仮名遣い、文末表現・ 〜は〜だけれど、〜は〜です。/〜も 〜も〜は同じです。1 これから在籍学級の国語の授業において、「古典」について学習することを知る。2 学習のめあてをつかむ。3 「月」について知っていることを話す。 ・「月」について分かること ・「月」の陰は、何に見えるか ・「月」に関係する祭り ・「月」をテーマにした物語等4 「かぐや姫」の物語について知る。5 「竹取物語」の冒頭部分の朗読動画を視聴する。6 「竹取物語」の冒頭部分の音読をする。●「古典」とは何かを簡単に説明する。● 出身国や地域の「月」にまつわる話等を話すことで、「月」への興味・関心を高める。● 必要に応じて、教員が事前に調べた生徒の出身国の「月」に関する情報をスライド資料で提示する。● NHK for School(「おはなしのくにクラシック」竹取物語)の資料を基に、概要を確認する。● 動画を視聴することで、言葉が分からなくても映像を通してイメージをもつことができるようにする。● 冒頭の朗読部分のみ取り扱う。● 冒頭部分の音読をする。現代とは違う古典のリズムを感じられることに重きを置き、正しく音読できなくてもよいこととする。中学生 1/2タイプ B タイプ別に見る日本語指導モデル ❼
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